精製塩とは?製法から特徴まで、伝統製法の塩との違いも詳しく解説

2025/01/15

消費者のかたから、「お宅の塩は精製塩ですか?天然塩ですか?」という質問をいただくことがあります。スーパーに並んだ塩、「精製塩はどれ?天然塩はどれ?」「どんな違いがあるの?」「添加物は大丈夫?」など、選ぶ際に迷う方も多いのではないでしょうか。このコラムでは、塩の製法による違いや特徴を科学的な視点からわかりやすく解説します。

精製塩とは何か?

塩は、全て海水の塩分からできています。
ただし、消費者の皆さんが「精製塩」とおっしゃるお話を聞いていると、「精製された塩」全般のことをこう呼んでいるようです。
では「精製された塩」とはどういうものなのでしょうか?
「精製」とは何のことか?インターネット辞書で調べてみると、「まじりものを除いて、純良なものをつくりあげること」とか、「物質を純粋な形に近づけるために不純物を取り除くプロセスを指す言葉」などと出てきます。
つまり、塩=塩化ナトリウムの純粋に近い形の塩、と言えましょう。

「精製された塩」の製法

消費者の皆さんがイメージする「精製された塩」には、いくつかの製法の物があります。
その製法を詳しく見ていきましょう。
日本の塩づくりでは、工程が2つあります。

  1. 海水を濃縮する
  2. 濃縮した海水を更に濃縮して結晶化する

1.海水から精製された塩を作る方法

  1. 海水には、塩は塩化物イオンとナトリウムイオンという、イオンの形で溶け込んでいます。海水にイオン交換膜(特定のイオンだけを通す特殊な膜)を浸し、電流を流すことで、塩化物イオンとナトリウムイオンを抽出し、濃い海水を作る
  2. 気圧を下げた真空蒸発缶内で、低温で結晶させる。

製品の表示で見分けたい場合は、以下のようになります。
「海水 イオン膜 立釜」
主な製品は、塩事業センターの「食塩」です。

2.天日塩を原料に精製塩を作る方法

  1. 天日塩を水で溶かして濃い海水を作り、マグネシウムやカルシウムの除去処理をする。
  2. 気圧を下げた真空蒸発缶内で、低温で結晶させる。

製品の表示で見分けたい場合は、以下のようになります。
「天日塩 溶解 立釜」
主な製品は、塩事業センターの「精製塩」です。

精製された塩の特徴

1も2も、結晶形は純粋な塩の形であるサイコロ状の堅い結晶、さらさらとして、流動性が高い性質です。塩化ナトリウムは99%と純度が非常に高いのが特徴です。
利点としては、大規模工場で作られ、不純物が少なく、純度が高く、安全性が高い、また、安価であることが挙げられます。

精製塩と他の塩との違い

塩は製法によって味や風味が異なります。例えば伝統製法の塩と精製された塩では、その特性や用途に大きな違いがあります。それぞれの特徴を理解することで、適切に使い分けることが可能です。

製法による違い

精製塩と伝統製法の塩の最も大きな違いは製造方法にあります。

種類海水濃縮方法結晶化方法
精製塩イオン交換膜による、高効率な濃縮気圧調整による低温での結晶化
伝統製法の塩天日干しや平釜炊きなどの原始的な方法気圧調整をしない加熱等での結晶化

味や風味の違い

種類結晶形成分
精製塩正方形塩化ナトリウム高純度ストレートな塩味
伝統製法の塩凝集晶やフレーク状など塩化ナトリウム以外のミネラル成分を含む塩味だけではない味となる

塩の種類にもよりますが、精製された塩は結晶が硬く塩味がストレートで味がシャープ。一方、伝統製法の塩は比較的硬さのない物が多く、まろやかな塩味の傾向があります。
また精製された塩には、マグネシウムを添加して塩味を加工し、伝統製法の塩のイメージで販売されている商品も多数あります。

まとめ:精製塩と伝統製法の塩、それぞれの特徴を知って上手に使い分けましょう

精製塩は安価で手に入れやすい便利さがありますが、精製塩と伝統製法の塩はそれぞれに特徴があるため、用途によって使い分けることでよりよい食生活に活かすことができます。
商品選びの際は、製造方法や原料にも注目することをおすすめします。

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